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ネパールトレッキングの前に!高山病の症状と対策を知っておこう

高山病とは標高2,500m以上の場所で起きる高度障害のこと。

標高が高くなると気圧が低下し、体内の酸素が不足することによって起きる症状で、頭痛や吐き気、めまい、手足のむくみ、さらには消化器官の機能低下など症状は様々で、最悪の場合は死にいたることもあります。

登山家だけではなく、ヒマラヤを旅する人たちにとっても高山病は大きな障害となります。

トレッキングをする前に、高山病の仕組みと対策を事前に知っておきましょう!

高山病の症状にはどんなものがある?

高山病の代表的な症状をご紹介します。この症状が出たら、無理は絶対にしないで対策を行いましょう。

頭痛でおかしくなりそう!

高山病のもっとも代表的な症状が頭痛。標高が上がって気圧が低下することで、身体に取り込む酸素の量も少なくなります。

脳は酸素を多く消費する部分のため、血液を増加させることで必要な酸素量を維持しようとします。血流を増やすために血圧が上がってしまい、それにより脳が圧迫されることで身体がだす危険信号が頭痛というわけです。

重度になると歩行困難、以上な言動、意識不明と行った症状が出はじめ、最悪の場合は脳浮腫を引き起こして死にいたることも。

息を吸っても苦しい

高所では空気中の酸素分圧そのものが少ないため、たくさんの呼吸を必要とします。歩いているだけなのに走った直後のように息が荒くなってしまうのはこのため。

身体の動きを穏やかにして酸素の消費量をおさえ、呼吸量を増やせばいいのですが、意識的に呼吸ができない睡眠中に低酸素状態になってしまうことがあります。そのため高所では深い睡眠はできるだけ避けるべきとされています。

滞在が長期になると、脳浮腫や肺水腫による呼吸困難に陥るケースもあります。

気持ち悪いし、お腹がすかない

高山病が進行すると、吐き気や嘔吐、食欲不振といった症状も出てきます。

これは内臓に送られる酸素が少なくなり、各器官の活動が低下することでさまざまな症状が引き起こされるため。

寒さに対する体の反応でエネルギー消費も多くなるので、しっかりと食事をとらなければいけないのですが、内臓の機能低下にともなって体への負荷は大きくなる一方です。

また、高所の大気は乾燥していて、気づかないうちに脱水症状に陥ることも。意識して水分を多めにとることが重要です!

手足が痺れてきた!

初期段階は毛細血管に血液が行き届かなくなることで起きるチアノーゼ(皮膚や粘膜が青黒くなること)や、指先など末端部分のしびれ

少なくなった酸素を体の重要な器官に届けるため、末端の血管を収縮させることで引き起こされる症状で、唇や爪の根元が紫色になるので視覚的にも判断しやすいです。

自分で判断するのが心配な場合は、心拍数の上昇や血中酸素濃度の低下など、指先で数値がはかれるパルスオキシメータという小型機械を持っていくと安心です。

高山病との向き合い方

気圧と酸素量の変化を知る

大気には酸素よりも多い窒素や二酸化炭素が含まれており、その割合は酸素が21%、そのほかが79%で、どの標高でも割合は同じ。

しかし、高所に行くと変わるのは気圧です。

標高8,000mでは地上の3分の1まで気圧が低下し、1呼吸あたりの酸素濃度は変わりませんが、取り込める酸素の量は大幅に減少します。

高所に身体を順応させる

私たちの身体には、環境の変化に適応しようとする順応能力があります。

少しずつ標高を上げたり、ゆっくり滞在することで低酸素や低気圧に慣れることが可能です。ヒマラヤでのトレッキングや登山のツアーには必ず、高山病のリスクを軽減するために高度順応の日程が組まれているのはこのため。

しかし、順応力は人ぞれぞれで異なるため、自分がどのくらいの変化に順応できるのか把握することが大切。

たとえばエベレスト登山では、2ヶ月以上の長期間の滞在で身体を慣らしつつ、標高の高いキャンプとペースキャンプを行ったり来たりすることで高度順応をおこない、本番である8,848mへのアタックに備えます。

ちなみに高山病の症状がひどい場合は、標高を下げることで軽減されるので覚えておきましょう。

呼吸法とNG行為

高所で意識したいのは、しっかりとした呼吸。ため息よりちょっと強いくらいを心がけて吐いてみましょう。肺の中にたまった空気を出すことで、新しい酸素をたくさん取り込めるようになります。

高山病対策でいちばん簡単な方法です

一方、やってはいけないこともあります。

座ったままの昼寝(気道が塞がり呼吸が減る)
思いっきり走る(強度の酸欠を起こす)
熱いお風呂にはいる(血圧が上がった脳にさらに血がまわる)
靴紐を結ぶとき頭を下げない(血流が頭に集中する)

などなど。

高山病は悪化してしまうと、最悪の場合は旅を中断したり、トレッキングをやめて下山しなければならなくなります。変化への気づきと対処が症状を和らげることに繋がるのです。

深い睡眠を避ける

睡眠時は意識的な呼吸ができなくなるため、呼吸回数が減少して身体が酸欠状態になります。それが高所の場合、その時間が長くなると高山病は進行してしまいます。

高所では眠れないとといったことがありますが、これは脳が酸欠に反応して目を覚まそうとするサイン。眠れないからといって、睡眠薬を飲むのは危険なので絶対にやめましょう。