ヨーロッパへ旅行する際のVAT(付加価値税)の還付申請について、簡単にまとめました。
レシートに書いてあるVATってなに?という方も多いと思いますが、知っているとお買い物した金額の数%が戻ってくるのでぜひ利用してみてください!
目次
VATの基礎知識
VAT(Value Added Tax)とはEU加盟国のすべての国に義務付けられている付加価値税のことをいいます。
この税制度はフランスで考案され、現在では世界で150カ国ほどが採用しています。
特に欧州連合(EU)ではVATをEU加盟国の共通税制と定めており、ヨーロッパでは必ずVATが導入されています。
日本でいう消費税みたいなもので国民の支払い義務がありますが、VATは品目によって軽減税率がちがってとても税率が高いです。
EU加盟国間でもVAT税率がちがいます
VATはあくまでも加盟国それぞれの「国内税」であって、国の財政事情や社会保障システムの構造によって設計されるものなのです。
そのため、下記の表を見ると一目瞭然ですが、VAT税率は国によってかなり差が出ていますよね。
※出典:欧州の付加価値税(VAT)―その現状と将来 EU MAG
たとえば医薬品を買う場合、イギリスでは税金がかかりませんが、ポーランドでは7%、イタリアでは10%、デンマークではなんと25%と加盟国間でかなりの差があります。
日本より断然たかいんです!
VATは「国内税」なので外国人は免税されます
そんなVAT(付加価値税)ですが、わたしたち日本人旅行者がEU域内で何かを買って自国へ持ち帰る(輸入する)場合は、原則としてVATは課税されません。
なぜなら、付加価値税は「付加価値税(消費税)=消費される場所で発生する税」と定義されているため、EU圏内で買ったものを消費する場所が、日本(EU圏外)であれば、VATの課税対象外になるのです。
ヨーロッパを旅行する場合にはこうした特典を利用して、実質\TAX FREE/で買い物を楽しむことができます。
ただし、私たちが免税を受けるためには購入したものが間違いなく輸出されたという税関の証明が必要です。
EU域内のお店にとっては「旅行者が空港の税関窓口で購入したものを見せて、判を押された書類」が税務申告上の大事な証明となります。
VATの還付申請の手続き方法
まずは「TAX FREE」マークの免税店をさがす
最初に注意しなければいけないのは、免税店以外で買い物をした場合、VATの還付申請はできないという点です。
免税店は「TAX FREE」もしくは「VAT FREE」のステッカーが店頭やレジに貼られているはず。
「グローバルブルー」と書いてある青色のトゲトゲマークがあるか確認しましょう。
もし目印が見当たらない場合は、「Is this a duty-free store?(ここは免税店ですか?)」または「Can I buy it tax-free?(これは免税で買えますか)」などと聞いてみるといいと思います。
国が定める最低購入金額以上の買い物をする
EUではそれぞれの国でVATの還付条件として最低購入金額をさだめていますが、これは「国が定める金額以上を1つのお店で購入しなければ免税手続きは行えない」ということです。
【参考】免税制度一覧
国名 | 最低購入金額 |
---|---|
アイルランド | なし |
イタリア | 154.94ユーロ |
オーストリア | 75.01ユーロ |
オランダ | 50ユーロ |
キプロス | 50ユーロ |
ギリシャ | 120ユーロ |
スペイン | 90.16ユーロ |
スロバキア | 175.01ユーロ |
スロベニア | 50.01ユーロ |
ドイツ | 25ユーロ |
フィンランド | 40ユーロ |
フランス | 175.01ユーロ |
ベルギー | 125.01ユーロ |
ポルトガル | 61.35ユーロ |
ルクセンブルク | 74ユーロ |
※出典:地球の歩き方
たとえばフィンランドでは、VATの還付を受けられる最低購入金額を40€と定めています。つまり1店舗で40€以上の買い物をする必要があるということです。
会計時に手続き書類に記入する
必要なもの
・パスポート
お会計時に「VATの申請書いる?」と聞いてくれる店員さんもいますが、そうでない場合は「TAX FREE Please」となどと一声かけるだけですぐに対応してくれるはずです。
書くのは「氏名」「住所」「署名」のみ。
あとはパスポートの提示を要求されるので、忘れずにもっていきましょう。(税務申告上、お店側で必要らしい)
商品は未開封のまま空港へ
最後に注意するべき点は、VATの還付対象となるのは未開封、未使用の商品のみだということです。
たとえば現地で衣類を購入し、出国する前に袖を通してしまった場合、EU圏内での消費となり還付は受けられません。
荷物をまとめたいからといって、ショップの紙袋から商品を出すのも誤解を招きかねるので避けましょう。
空港での免税手続き
必要なもの
・パスポート
・購入品
・購入品のレシート
・VAT還付申請書
EUの空港にはたいてい「TAX REFUNDS」と書かれた免税手続きカウンターがあるので、そこで手続きを行いましょう。
手続きはいたって簡単で、必要書類に係員が受領印を押してくれたら終了です。
団体客で免税手続きカウンターがごった返す可能性があるので、フライトに遅れないよう早めに行くことをおすすめします。
払い戻しは現金?カード?
免税手続きの際、係員から「払い戻しは現金にする?クレジットカードにする?」と聞かれます。
ここではクレジットカードを選ぶことをおすすめします。
なぜなら現金での払い戻しを選択した場合、手数料がかかってしまうから。
クレジットカードなら手数料無料で翌月にカード明細を通して返ってきます。
帰国してからの免税手続きは要注意
日本で免税手続きをする場合、成田・関空・TCATで手続きが可能です。
必要書類に住所などを記入して専用ポストに投函すればよいのですが、この書類に必須なのがヨーロッパの空港で押してもらう「税関スタンプ」。
やはり帰国前にEU域内のTAX REFUNDSカウンターで受領印を押されている必要があるんですね。
なので、免税手続きは必ず帰国前におこないましょうということです。
お土産の買い忘れは大丈夫?
私もよくやってしまうのがお土産の買い忘れ。もしくは買う時間がなかったとき。
「現地のお土産は日本に帰ってからじゃ買えないしな・・」という場合には、お土産をオンラインで購入するという方法があります。
便利な世の中になりましたねえ