インドの隣にある国ネパール。ネパールと聞いて思い浮かぶのは、世界最高峰のエベレストを有するヒマラヤ山脈くらい、という人も多いと思います。
だけど、ネパールを訪れた旅人はみんな口を揃えていいます。「インドより優しくて、穏やかで、いいところ」だと。
私は実際に行ってみて、その意味が理解できました。そして、ネパールにあまり興味がない人たちに、もっとネパールのことを知ってほしいと思いました。
以下ではネパールの基礎情報からちょっと不思議な風習まで20個まとめてみました。きっとこれを読んだらネパールに行ってみたくなるはずです◎
ネパールの基礎知識
1. ネパールの緯度
緯度は北緯27度付近。実は奄美大島と同じ亜熱帯気候なんです。
ヒマラヤ山脈のイメージで北国のような印象を持たれがちですが、地理的にはインドやスリランカと同じ南アジアに属します。
乾季(9月〜5月)と雨季(6〜9月)があり、カトマンズやヒマラヤ山脈を見たいなら乾季に行くのがおすすめ◎。
2. ネパールの人口
人口は約3,000万人で、日本の人口の約4分の1。人口密度は197人/㎢と、和歌山の密集度に近いです。
平均年齢はなんと24.1歳!人口増加がすすんでいます。ちなみに日本は平均年齢が46.7歳。
3. ネパールの国土の大きさ
国土面積は14万7000㎢と、北海道の1.8倍の広さがあります。
この広さの中で、海抜70mの平地から標高8,848mのエベレストまであることを考えると、かなり変化に富んだ地形であることがわかりますね。
また、国土の77%は丘陵、山岳地帯。日本も国土の70%が山岳地帯なので、意外とネパールと地形が似ているということになります。
4. ネパールの国旗
世界で唯一、四角形ではないネパールの国旗。ネパール政府の公式説明では、国の2大宗教である仏教とヒンドゥー教をあらわしているんだそう。
もともと南アジアでは三角旗が使われることが多く、その伝統にしたがって、国旗を決めるときに四角形を選ばなかったといわれています。
5. ネパール人の平均年収
ネパール人の一人あたりの平均年収は10万円以下(2016年時点)。ブータン、カンボジア、ラオスなどと同じく所得が低く、国連から後発開発途上国として認定されています。
ちなみに日本の平均年収は432万円(2017年時点)。日本はネパールから近い出稼ぎ先のため、近年ネパール人が増えています。
6. 西暦2019年はネパール暦だと2075年
ネパールには太陰太陽暦とヒンドゥー教をミックスさせたヴィクラマ暦というものがあり、西暦とは少し違う数え方をします。
年でいうと西暦に56もしくは57を足した数字がヴィクラマ暦の年。そのため2019年はヴィクラマ歴だと2075年になります。また、月でみるとヴィクラマ暦で正月にあたるのは4月中旬。1ヶ月に32日間もある月もあります。
7. 1日に停電が数時間続くのは当たり前?
1日に数時間も停電が続くのが当たり前だったネパール。そのため電気をつけるときには、停電にならないためのお祈りとして、胸と額に3回手をあてる文化があったんだそう。
しかし2017年には長年続いていた停電問題が解決し、24時間電気が通るようになりました。
というのも、特に発電所ができたりインフラ整備をしたわけではなく、電気を不正に横流しして利益を得ていた大臣をクビにしたからなんだとか・・。
8. パンダはネパール語由来?
パンダという名前は、ネパール語の「nihalya ponya(竹を食べるもの)」や「panja(手のひら)」からきたのではないか、という俗説があります。
もともとネパールに生息していたレッサーパンダを「パンダ」と呼んでいましたが、中国でジャイアントパンダが発見されたことで、大きい方をパンダ、小さい方をレッサーパンダと呼ぶようになったんだとか。
9. ヒマラヤの言葉の意味は「雪の住処」
パキスタン、インド、チベット、ネパール、ブータンに連なるヒマラヤ山脈は、昔から人々の暮らしとともにある山。
この山ははるか昔、インドをはじめとした南アジアで広く使われてきたサンスクリット語で「hima(雪)」+「alaya(住処)」と呼ばれていたため、ヒマラヤになったんだそう。
10. エベレストはネパール語で「サガルマータ」
ネパール、チベット間にまたがる世界最高峰のエベレスト。
ネパール名のサガルマータはサンスクリット語で「天空の頭」という意味をもちます。また、チベット名ではチョモランマ。「世界の母なる女神」という意味です。
ネパールの不思議な風習
信仰心が強いネパール人。以下ではそんなネパール人ならではの、興味深い文化・風習をご紹介します。
1. ネパールではお昼ごはんがない!
ネパールでは基本的にお昼ごはんを食べる文化がありません。
朝にはまずチャーを飲んで、9時ごろにダルバートなどの朝ごはんを食べます。日中には「カジャ」と呼ばれる軽食だけで、19時ごろになったら夜ごはん(ここもダルバート)を食べます。
2. ネパールには生き神様がいる
ネパールには「クマリ」と呼ばれる女神がいます。
カトマンズのクマリの館に暮らしているのはロイヤル・クマリ。そのほかネパール各地に10人ほどのローカル・クマリがいて、預言を行います。
興味深いのがクマリの選抜方法。
健康で美しい女の子の中から、生贄の動物の生首が並んだ部屋で一晩泣き叫ばずに過ごした少女が選ばれるんだとか!初潮を迎えると役目を終えて、新しいクマリが選ばれます。
3. 身体の中で不浄とされるのは左手と足
トイレでお尻を拭くときに左手を使うため、左手は不浄とされています。ネパールでは、左手で握手をしないよう気をつけましょう。
また、足も不浄であるとされ、親や娘の足をさわる伝統的な挨拶がありますが、それ以外は基本的にNG。
4. 食事前には神様にお供えをする
食事前に料理をつまんでお皿の外に出している光景を見るかもしれないですが、苦手な食べ物があった、というわけではありません!
これはネワール族ならではのお祈りスタイルで、朝ごはんも夜ごはんもこうして食事前にお祈りを捧げてから食事をします。
5. ネパールでは猫は悪魔の生き物
ネパールでは猫は悪魔の生き物とされています。実際に私がネパールへ行った際も、野良犬はいましたが野良猫はいませんでした・・。
自分の進もうとしていた道を猫が通りすぎることは、ネパール人にとって縁起が悪いこと。
もし目の前を猫が横切ってしまったときは、誰かが道を通りすぎるまで待つんだそう。
6. 女性は未亡人にならないために果物と結婚する?
ネパールでは未亡人は忌み嫌われる存在。一度未亡人になってしまうと、汚れた存在とされて外出できなくなることも・・。
そこでネワール人が考案したのが「イヒ」という儀式。女の子は初潮を迎える前に、シヴァ神の息子・クマール神を象徴する果物・ビャーと結婚する儀式を行います。
不死の神様とされるクマール神と結ばれることで、一生夫に先立たれず未亡人にはならないということになるそうです。
7. 真冬の朝は外から人間の叫び声がする?
ネパールではお湯のでる家がまだ少なく、地元の人たちは冬場でも冷水で体を洗わなければいけません。
地元の人とはいえ、やはり寒い日は耐えられない水の冷たさ。寒い日は叫びながら水を浴びるんだそう。
また、温水は体によくないと信じているネパール人が中にはいて、お湯で頭を洗うとハゲる、お湯に浸かるとガンになりやすいなどといって、あえて冷水を浴び続ける人もいるんだとか!
8. 交通安全には動物の血?
毎年10月にネパール各地で行われるヒンドゥー教のお祭り・ダサイン。祭りの8日目には生贄を捧げる「マハアスタミ」があって、地元の人々は動物の血を車に塗って交通安全を祈るんだとか。
また、キチカンディと呼ばれる女性のお化けにとりつかれないよう、女性の顔や目を表したステッカーを車体につけているネパール人も多いです。
お土産屋さんを回ると、よく見かけると思います。
9. ペットボトルは口をつけずに飲むのがネパール流
上を向いて口をあけて、ペットボトルの縁に口をつけないで水を流しこむスタイルが一般的。
ネパールでは一度人が口をつけた食べ物、飲み物を汚れたものとみなす風習があります。
ペットボトルの飲み物も直接容器に口をつけなければ汚れたことにはならず、他の人と飲み物をシェアすることができるんだそうです。
10. 相手に物を渡すときのネパール式作法
敬意をもっている相手に物を渡すときには、「右手で物を持ち、左手を右肘に添える」のが作法です。これは韓国の人が丁寧に物を渡すときのスタイルと似ています。
日本にあるネパール料理店でも、ネパール人の店員さんが料理を提供するときやレジでお釣りを渡すとき、左手を添えていることがあるので見てみましょう。